宅建の独学をすると、合格率はどれくらいになるでしょうか?
宅建の独学者に限っての合格率は計測が難しいためはっきりとしたデータがありません。ただし、宅建受験者全体の合格率を見ると楽観はできませんし、独学での
合格率も厳しいものと予想されます。しかし合格率をよく観察してこそ、合格へのカギを発見できます。
それでは、公表されている宅建の合格率を参照しましょう(初めて独学する人は必見です)。
年度 | 受験者の人数 | 合格者の人数 | 合格率 | 合格最低点 |
2003年 | 169、625人 | 25,942人 | 15.3% | 35点 |
2004年 | 173、457人 | 27,639人 | 15.9% | 32点 |
2005年 | 181、880人 | 31,520人 | 17.3% | 33点 |
2006年 | 193、573人 | 33,191人 | 17.1% | 34点 |
2007年 | 209,684人 | 36,203人 | 17.3% | 35点 |
2008年 | 209,415人 | 33,946人 | 16.2% | 33点 |
2009年 | 195,515人 | 34,918人 | 17.9% | 33点 |
2010年 | 186,542人 | 28,311人 | 15.2% | 36点 |
2011年 | 188,572人 | 30,391人 | 16.1% | 36点 |
2012年 | 191,169人 | 32,000人 | 16.7% | 33点 |
2013年 | 186,304人 | 28,470人 | 15.3% | 33点 |
2014年 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% | 32点 |
2015年 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% | 31点 |
2016年 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% | 35点 |
2017年 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% | 35点 |
2018年 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% | 37点 |
2019年 | 220,694人 | 37,481人 | 17.0% | 35点 |
どの年度でも宅建の合格率は、16%前後くらいのパーセンテージになっています。これは受験者の6人中5人は不合格になっているという意味になります。
この中には、すでに不動産会社に就職している人たちもいれば、資格の学校に(週に何日も)通い続けている人たちも相当数入っています。それでも失敗してしまうのですから、それよりハンデが多い独学となると、宅建の合格率はさらに低いだろうと推測せざるを得ません。
独学者の宅建合格率は、10%に届いていなくても驚くことではないでしょう。しかし、ここで安易に投げ出すことはありません。
この試験は、全部で50問出題され、1問1点の配点ですので50点満点となっています。合格率は毎年15~17%で推移していて、難しい試験であることが推測されます。実はこの合格率の数字は、自然に15~17%になっているわけではなく、意図的にこの数字に抑えられているというのが事実です。
合格率の数字を操作するために必要となってくるのが、合格基準点。合格基準点を上下させることで、合格率を15%前後にキープしているわけです。
合格最低点の変化
合格率だけではなく、合格最低点も、毎年数点くらいしか変化していないですね。
(宅建の問題は四択式が基本ですから、そんなに点差がつきにくい性質がもとからありますが)
合格最低点も合格率もあまり変わっていない理由は何でしょうか?答えは、「試験の難易度を変えたくない」という意向がお上にあって、問題の難易度があまり変動しないように配慮されているのです。
試験問題を毎年まるっきり一新してしまうと、受験者は混乱しますから合格率も下がります。そうなると合格者も激減します。それを避けるには、試験範囲をあまり変えないとか、前年度と変わらない特徴を残すしかありません。
つまり、よく試験の傾向を調べた受検者ほど合格率も突破しやすくなるのです。
100点満点は不要
宅建試験に合格するためには、100点満点を取る必要はまったくありません。むしろ、合格ラインを目標にすることにより、完璧主義の呪縛から上手く逃れることも、試験対策をスムーズに進めていく上では大切な心構えであると言えましょう。
とはいえ、毎年変動する宅建の合格ライン。その傾向から、受験生が目標とすべき得点を考えてみたいと思います。
目標とすべき点数は?
上記の表のうち、直近10年の合格最低点を平均すると「34.3点」ということになりますが、合格ラインについてはその年の試験問題や受験者の出来により変動するので、必ずしも「平均値あたりを目指せば良い」というわけではありません。
実際、宅建試験は合格ラインの±3点ほどの層がかなり厚く、1点、2点足らずで泣きを見る受験生も多いとのこと。油断は禁物です。
ここ10年の宅建の合格ラインを見る限り、最高得点は「37点」ということになりますから、ひとまずの目標はそこになるのではないかと思います。50点満点ということで、これはパーセンテージで言えば「74%」となりますから、一般的な国家資格で「7割取れればまず安心」といわれるのと同じような認識と捉えて良いでしょう。
決して容易な壁ではありませんが、70%を目標に取り組んでまいりましょう!
学力の格差
独学かどうかに関係なく、受験者の学力は実は格差があります(当たり前ですが)。実は、あまり勉強していないのに会場に来る受験者はかなりいるのです。うまく勉強できなかったり、ほんの約3ヶ月前に「宅建は使える資格」と聞いて申し込んだり……と、不充分な受験者も多いのです。
したがって、最初から落ちる運命にある受験者もかなり混ざっていますから、それらを除いて調べると、合格率も30%を超える可能性が高いそうです。3人に1人以上だと思えば、宅建の合格率も少し楽に思えるでしょうし、独学する気も強まるでしょう。
合格点を狙うテクニック
しかし、50点満点の37点というのは、簡単に取れる数字ではありません。試験の内容は権利関係や宅建業法、法令上の制限など、不動産とそれに関連する法律についてですので、法律に触れたことのない人にとっては理解することすら難しいものです。
宅建は法律系資格の入門試験だといわれていますが、あくまでも国家試験ですから、10人に2人以下しか合格できない厳しい試験であることを認識しなければなりません。
そこで、短期間で効率よく合格するためには、合格点の37点ギリギリのところを狙う学習法が必須となってくるのです。37点を狙う学習というのは簡単なように思えて、意外とテクニックが必要なもの。
試験範囲の中から、捨てる項目としっかり覚える項目とを判別し、必要な部分だけを確実に覚えていく作業を行うことになります。この判別作業は、過去の出題傾向を熟知していなければできないことですから、独学ではかなりの時間がかかることを覚悟しなければなりません。
宅建試験の難しさを、理解していただけたでしょうか?